蝉が鳴いている
じりじりと、近づく地面を嘆いて
不釣り合いな樹々に宿り
目溢しされない自らを命がけで訴える

透きとおった、アトモスフィアの流れ
蜜のように あるいは血液のように
ぼくらは覚えず仰いで、吸いつくす

鳴きやんだ蝉
はびこる樹木の両手が 瞼に落ちてくる
まるで 添い寝でもするかのように
雲間から時雨る いささかの陽光をさえぎりながら